第15章 episode 13-2【ジルとユーリ】〜たかが愛〜
ジルは微かに目を見開いた。
そして、心の底からユーリを羨ましいと感じた。
ルリーの為にここまで素直に気持ちを出せるユーリ。
ユーリの立場であっても、プリンセスと執事では身分の差があり、叶わない想いの筈……
それでも隠すことなく、こうして上司である自分に刃向かう事になってでも、貫こうとしている。
「ジル様も、本当はとっくにわかってるんでしょ」
「仮にそうであったとしても、私は教育係という立場上、その舞台には決して上がれないのです」
「それと、ルリー様にちゃんと伝える事は別だよ。ルリー様の悩みは、ジル様がちゃんと気持ちを伝えれば解決するんだから」
と、ユーリがきっぱりと言い放った時、微かに扉がカタ…っと音を立てた。
ユーリがはっ…として扉を開けると、ルリーが俯いて立っていた。
「ルリー様……全部聞いてた?」
「………」
ルリーは答えなかったが、その答えは明らかだ。
ジルは深い溜め息をつくと、ルリーに“どうぞお入り下さい”と告げた。