第9章 ~政宗と幸村~
「・・・さっきまでの威勢はどうした、真田・・・」
小十郎は、己の刀に力を入れた。
「・・・・・・ぐっ!!」
其に幸村は、すんでんの所で踏み留まって居た。
其でも小十郎は、刀に力を入れるのを止めなかった。
「・・・生半可な覚悟もねぇ奴が、政宗を返せとか息巻いてんじゃねぇ・・・っ!!」
「・・・っ・・・・・・ぐぅぅ・・・っ!!」
次第に、幸村の顔が苦痛に身悶えて居た。
『・・・・・・腕が・・・もうっ!限界で御座る・・・っ!!』
すると、幸村の二槍にヒビが走った。
其を小十郎は、見落とさ無かった。
そして直ぐ様、刀にありったけの力を入れた。
「・・・此で・・・終いだ、真田あぁぁ・・・っ!!!」
「・・・・・・くっ・・・そおォォ・・・っ!!!」
「旦那・・・っ!!」
誰もが、幸村の敗北を予想して居た。
打が、そんな彼等の耳に、あの人物の声が響いたー
「ー・・・其所までだ、小十郎!!」
そう、小十郎が護ろうとして幸村が奪い返そうとした人物。
政宗の姿が、其所にはあった。