第16章 雄英文化祭編
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文化祭が終わり、雄英高校にはいつもの日常が戻っていた。
校内に漂っていた高揚感も少しずつ落ち着き、授業と訓練を中心とした生活が再び始まっている。
昼休み。
食堂のランチラッシュに乗り遅れまいと、1年A組の生徒たちが次々と教室を出ていく。そんな中、階段を下りようとしていたおもちは、背後から聞こえてきた声に足を止めた。
「いた!あの人じゃないか!」
「A組の美女!」
「ねえ、ちょっと待って!」
「文化祭のライブ、すごかったです!」
「少しだけでいいから、お話しできませんか!?」
振り返ると、他学科の生徒たちが何人もこちらへ向かってくるのが見えた。
その数、十数人。
しかも、先頭の生徒たちが自分を見つけたことで、後ろにいた生徒たちまで次々と足を速めている。
「……えっ」
思わず目を見開いた。
文化祭のライブが好評だったことは知っている。校内ですれ違う際に声をかけられることも増えた。
けれど、まさか昼休みの廊下で追いかけられることになるとは思わなかった。
「待ってください!」
「握手だけでも!」
「写真は駄目ですか!?」
「……ごめんなさい。今は少し……!」
申し訳なさそうに断りながらも、彼女は足を速めた。
しかし、相手は一人や二人ではない。
さすがに、この人数を相手にするのは骨が折れる。
しかも、ここで個性を使って人払いをするわけにもいかない。相手は敵でもヴィランでもなく、ただ自分に興味を持ってくれた生徒たちなのだから。
どうしたものかと考えていた、その時。
教室の入り口で、ちょうど廊下に出ようとしていた人物が目に入った。
「……飯田君!」
「む?」
声をかけられた飯田天哉が振り返る。
次の瞬間、おもちは彼の背後へと滑り込んだ。
「ちょっと隠れさせてもらえるかしら?」
「なっ!?どうしたのだ、おもち君!」
「後ろを見ていただければ、事情は分かると思うわ……」
彼女がそっと顔を出す。
その視線を追った飯田は、廊下の向こうから押し寄せてくる生徒たちを目の当たりにした。