第16章 雄英文化祭編
「ほんとう!?」
「ええ。もちろん」
「約束?」
「約束」
小指を差し出すと、エリは嬉しそうに自分の小指を絡めた。
その光景を見ていたクラスメイトたちは、またしても胸を撃ち抜かれた。
「……無理」
芦戸が両手で顔を覆う。
「もう無理。綺麗で優しくて、あんな笑い方もできて、しかもエリちゃんと指切りしてる……」
「芦戸、落ち着いて」
耳郎が苦笑する。
「いや、耳郎ちゃんだって顔赤いじゃん!」
「うるさい!」
珍しく耳郎まで声を上げた。
おもちはそんな二人のやり取りを聞いて、くすりと笑う。
「ふふ。皆、今日はずいぶん表情が豊かなのね」
「誰のせいだと思ってんの!?」
芦戸が思わず叫び、直後に「あっ」と口を押さえた。
教室に、一瞬の沈黙が落ちる。
そして。
おもちは、あの悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「……さあ?誰のせいかしらね?」
その瞬間、A組の何人かが、声にならない悲鳴を上げた。
エリは再び彼女の胸元に顔を埋め、照れくさそうにしている。
「おねぇちゃん、だいすき……」
柔らかな声とともに、おもちは小さな身体を抱きしめた。
その微笑みは、やっぱりどこまでも美しかった。