第16章 雄英文化祭編
他の科の生徒たちも、同じ雄英の仲間だ。
それでも、爆豪が抱えている苛立ちもまた、簡単に否定できるものではなかった。
自分たちだって、好きでヴィランに襲われたわけではない。
何度も危険な目に遭い、それでもヒーローになるために前へ進んできた。
その結果が、今の生活だ。
「……チッ」
険悪になりかけた空気の中、おもちは静かに爆豪を見つめていた。
彼が怒っている理由は、単に文化祭が面倒だからというだけではないのだろう。
爆豪勝己は、誰よりも勝利にこだわる男だ。
自分たちの努力も、仲間たちの悔しさも、すべて本気で受け止めている。
だからこそ、ヴィランによって奪われた日常を、何事もなかったかのように楽しむことに、納得できない部分があるのかもしれない。
しかし、爆豪はそこで、ふいに顔を上げた。
「……だがな」
低い声が、共有スペースに響く。
「おれらだって、好きでヴィランに転がされてるわけねぇだろ」
クラスメイトたちが、一斉に爆豪を見た。
「ムカつくだろが」
その目には、強い怒りが宿っていた。
けれど、それは誰かを傷つけるための怒りではなかった。
悔しさを、屈辱を、何度も味わってきたからこそ。
それでも前に進むことを、彼は諦めていない。
「だったら、俺らがここにいる意味を見せつけてやりゃいい」
爆豪は耳郎を見た。
「音楽だか何だか知らねぇが、やるからには中途半端なもんは出さねぇ」
そして、力強くスティックを握り直す。
「雄英全員、音でヤルぞ!!」
「……は?」
耳郎が目を丸くした。
一拍遅れて、上鳴が爆発するように叫んだ。
「うおおおおお!!爆豪、やる気じゃん!!」
「やるんじゃねぇか!!」
「結局やってくれるんだ!?」
「動機はやばいけど、やってくれるんだね!!」
「音でヤルって何!?言い方が物騒すぎるんだけど!!」
一気に沸き立つ共有スペース。