第22章 事後
『なぜ、俺を犯したのだ。アーダルベルト』
俺は、アーダルベルトに詰問をした。
あの後俺は何度もイカされた。苦痛も少し受けた。俺を犯した理由をちゃんと本人に聞かなければ俺は元の世界に帰れない。
『口調が変わってるぞ、ヘルマン』
アーダルベルトは反省しないで俺に笑った顔を見せている。
怒ると口調が変わるのは、昔からの癖だがそんなことはどうでもいい。今はアーダルベルトに俺を犯した理由を聞くのが先だ。
『黙れ、お前は俺の質問にだけ答えればいい。異論は認めん。』
俺の強気に押されたのか、アーダルベルトは少しふてくされながら言った。
『ヘルマンとヤりたかっただけだ。』
俺とヤりたかっただけ?そんな勝手なことで俺は•••
『だからって、相手の了承なしにことに運ぶとは言語道断!物事には順序と言う物がある。例えばデートとか•••』
『じゃあ、俺と付き合ってくれ』
いきなりアーダルベルトが真剣な顔つきになり俺の話をさえぎった。
『俺、お前が好きなんだ。だけど伝えるのが怖くて犯してしまったんだ』
俺はドキッとして赤面してしまった。ついさっきまで怒っていたのに急に怒りがおさまっていき逆に変な感情が湧き出てきた。
俺はなるべく冷静を保ちながら言った。
『俺と付き合うなら、ある程度の覚悟が出来てるんだろうな?』
アーダルベルトは首を縦に振った。
『それなら、よろしくお願いします。アーダルベルト』
俺がそう言った途端にアーダルベルトは俺に飛びついてきた。
俺は倒れるのを必死にたえながらアーダルベルトを受け止めた。
アーダルベルトは嬉しそうに俺の胸に顔をうずめている。
それはまるでこの世界で処刑人と言われている者が見せたことが無い表情だった。