第15章 冬島
雪が強くなる。
白い景色の中で、人影だけがぼんやり浮かんでいた。
ルフィがローを見上げる。
「一人じゃねぇってなんだよ」
ローはすぐには答えない。
雪の奥を睨んだまま、小さく息を吐く。
「認識を混ぜられてる」
ウソップが顔を引きつらせる。
「に、認識……?」
「見たもの、聞いたもの、感情」
ローの声は低い。
「全部引っ張られる」
その時
みかの頭にまたノイズが走る。
鐘の音。
白い廊下。
誰かが笑っている。
『みつけた』
知らない声が、すぐ耳元で響いた気がした。
みかが思わず耳を押さえる。
サンジがすぐ顔を覗き込む。
「またか」
ローの目が細くなる。
「……早ぇな」
その瞬間
雪の奥の人影が、一歩前へ出た。
同時に
周囲の住民たちも、ぴたりと同じ動きをする。
まるで糸で繋がっているみたいに。
チョッパーが震える声を漏らす。
「う、動き同じだ……!」
ルフィだけはじっと見ていた。
「おまえ、悪いやつか?」
数秒の沈黙。
やがて人影の口が、ゆっくり動く。
「……ちがう」
風が吹く。
雪が舞う。
「たすけて」
その声だけは、今までと違った。
初めて、“誰かの感情”が乗っていた。