第52章 曲がり屋敷
「だめよ、この辺、タクシー会社ないし、ものすごいお金かかっちゃうよ?」
「ねえ、ばっちゃ。お願い」
T子は祖父と祖母を拝むように言う。
はあ、とため息をつき、祖母が口を開いた。
「わかった。ええ。ただし、T子や、お前の友達にも、禁忌を守ってもらうぞ」
「キンキ?」私が聞くと、T子が慌てたように言った。
「禁忌っていうのは、家のルールみたいなものなの。それがあるから、最初はだめって言っていたんだけど。逆に言えば、それさえ守れば泊まってもいいのよ」
「ええか。うちに泊まるなら、3つのことを守ってもらわねばならない。これは絶対じゃ。」先ほどまでの笑顔とは打って変わり、祖母は厳しい顔をする。
「1つ目は、夜12時以降、夜が明けるまでは無闇に部屋から外に出ない
2つ目は、夜、なにかに声をかけられても声を出してはいけない
3つ目は、夜、窓や扉を決して開けてはならない」
「必ず、これらを守って欲しい」
重々しく言う祖母の口調に、私は無言で頷くことしかできなかった。