第51章 現身の桜〜うつしみのさくら〜
同窓会の席で、私はたまたまT君の近くに座ることになった。私以外の者も皆一様にT君の変貌に驚いたようで、T君は周り中から『一体どうしたんだ?』と質問攻めにあっていた。
ところが、当のT君自身は『いやー』とか、『たまたま運が良いだけで…』など適当にお茶を濁すばかりで、変貌の原因については結局わからずじまいだった。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、同窓会はお開きとなった。あとは気の合う者同士で二次会、三次会へ・・・という流れになった。私はそんなにものすごく仲良い人もいないので、さて帰るかな、と思って準備をしていたが、そこで、T君に声をかけられた。
はて、私はあなたとそんなに親しかったでしたっけ?
そうは思ったが、特に予定があって早く帰ろうとしたわけでもなく、なんだか珍しい誘いだったので、乗ってみることにした。
T君は同窓会の会場からほど近い、小さいがお洒落なバーに私を連れて行ってくれた。
さすが銀行員だ。接客とかもするのだろうか?
互いに好みのカクテルを注文すると、しばらく、昔の話に花が咲いた。
そう言えば、昔とずいぶん違うじゃないか。
私がそう切り出したのがきっかけだっただろうか。T君が不思議な話をしてくれた。