第32章 現代風の呪い
『僕は死にますが、R、G、Fの3人は絶対に許しません。呪い殺します。』
そして、最後に実際に自分の腹にナイフを突き立てた『後』に、その写真を撮って、投稿したのだった。
「直接関わってはいないが、非常にショッキングな事件だったようだ。すぐに報道規制がかかり、あまり世間には発表されなかったんだ。こういう少年の自殺は不用意に報道すると模倣した連鎖自殺を招いちまうおそれがあるからな」
このときの資料によると、父親であったYは、学校に猛然と抗議をしたようだが、教育委員会の調査の結果は『いじめの事実は確認されなかった』というお決まりのものだったという。友達同士のふざけ合いだった、というわけだ。
その後、なおも父親のYは学校や教育委員会に申し入れをしたり、いじめをしたとして息子のTwitterで名指しされた生徒に会おうと試みたが、ことごとく拒否されたそうだ。
「そうこうしているうちに名指しされた3人は次々と引っ越していった。報道規制があったとはいえ、拡散したTwitter投稿まではどうすることもできなかったんだ。居づらくなったんだろうな」
「その後、Yは落ち込んだんだろうな。仕事も辞め、妻とも離婚してしまった。次男の親権も妻に渡し、退職金はすべて妻に慰謝料という名目で渡した。そうして、Y自身も引っ越してしまったんだ」
事件はこれで終わったかと思われていた。しかし、今回のYの自殺をきっかけとした捜査で新事実が明らかになったのだ。
なんと、Twitterで名指しされた三人の少年ーR、G、Fがその後、次々と不審な死を遂げていたのだ。
「Rは父親の転勤を表向きの理由に、Y県に引っ越していた。けれども、引っ越しをした先にもすぐに噂が広まったらしい。例のTwitterの投稿も転校先の生徒たちが次々とリツイートしていたようだ。」
なにせフルネームが記載されており、例の腹にナイフが刺さっている画像までセットで広まったのだ。Rの家に無言電話がかかってきたり、『人殺し、出ていけ!』などという中傷ビラが貼られるようになるまでにそう時間はかからなかった。父親の転勤先の会社の社員も例の投稿を目にするようになり、Rの父親も仕事をやめざるを得なくなった。