第1章 ひとつ目のお話「海に招かれる」
こんな感じのK実だが、私とはとても気があっていた。というのも、私自身も怪異譚とか怪談話が好きだったからだ。むしろ、私自身はそういうつもりはないのに、私のもとには色んな人が怪異の話を持ち込んでくる、という感じなのだが。
K実から知らない怪異譚を聞くこともあるし、私が聞いた怪談をK実に『提供』することもある。色々書いたが、要は互いに怪異好きの変わり者、というわけだった。
K実が言うには、今度のネタは海に関わることだという。
『その地区に、似たような話がたくさんあってさ。それを取材して記事を一本書こう、ってわけ。今回はスポンサーもがっちり確保しているから、取材費も出るんだ』
今日の支払いも経費で落とすと言ってるからちゃっかりしている。道理であの万年貧乏なK実が『奢るから』等と言ったわけだと得心した。
似たような話って?
私が怪談に話題を戻すと、K実は得意げな顔をして取材ノートを黒バックから取り出す。そのバックはPCを収納するスペースがあり、ガバッと開くとカメラやらボイレコやらを取り出しやすい仕様になっているもので、K実の取材時のお気に入りだった。
「ひとつ目の話はね・・・」
それはK実がネットで見つけたとある体験談だった。