第9章 魅惑的な太腿をもつ君と♡ 【ハイキュー!! 黒尾鉄朗】
情事が終わった後の、気だるい空気が漂う夕暮れの廊下。
黒尾はシャツのボタンを留め直し、心なしか足取りの頼りないを支えながら、図書室近くの角までやってきた。
そこには、ポータブルゲーム機の画面を眺めながら、退屈そうに壁に背を預けている研磨の姿があった。
「……遅い」
研磨は画面から目を離さず、けれどその低い声には確かな呆れが含まれていた。
「あー、研磨。悪いな、助かったわ」
「……謝るなら、もっと計画的にやって。クロ、声漏れすぎ。……廊下まで聞こえてたよ」
「っ……!!」
が顔を真っ赤にして黒尾の背中に隠れると、黒尾はさすがに気まずそうに頬を掻いた。
「いや……それは、その、が可愛すぎてつい……」
「……気持ち悪いから。そういう報告はいらない」
研磨はようやくゲームの電源を切り、じろりとの首元に残った微かな赤み――夢中でつけたであろう痕――を見つめた。
「……クロ。さんを大事にしたいのは分かるけど、場所と状況考えて。……もし先生が通りかかってたら、俺じゃ止められなかったし」
「へいへい、以後気をつけまーす……」
「……絶対思ってないでしょ。……あと、さんも。クロが調子に乗って無茶したら、すぐ俺に言っていいからね。……クロ、たまに頭のネジ外れるから」
「……研磨くん、ありがとう。……ごめんね、見張りなんてさせて」
「……さんはいいよ。……悪いのは全部クロだから」
研磨は「じゃ、帰る」と短く告げると、一度も二人を振り返ることなく歩き出した。
だが、その去り際にポツリと、
「……次は、ちゃんと家でやりなよ。……布団の方が腰、痛くないでしょ」
とだけ付け足した。
「……っ、研磨ぁ!! お前、どこまで察してんだよ!!」
「……クロが思ってる以上に、全部」
赤面して叫ぶ黒尾と、それを苦笑いで見送る研磨。
放課後の静かな校舎に、いつものような、けれど少しだけ「特別な」関係になった彼らの笑い声が響いていた。