第9章 見るなってば!※
「んん゛っ!?」
にっと笑った肥前は俺の唇を乱暴に奪った。ぬるい舌で唇を強引に割り開かれる感触に背筋がぞわぞわとする。
「ふぅ…ん、ぅ、んッ、くちゅ、」
霊力には相性があって、それが合う人との受け渡しは恐ろしい程の快感を伴うらしい。そんな都市伝説を聞いたことがある。
ずっと信じてなかったけど、肥前にこうやって霊力を送ってもらう度にその噂を認めてしまいたくなってしまう。
頭がばかになってキスのことしか考えられないし、触れ合う粘膜がすごく熱くて、咥内をまさぐられるだけで腹の奥がゾクゾクする。こくりと溜まった唾液を飲み込むと、体温がじんわりと上がったような気がする。
とにかく気持ちいい。
やがて、唇が離れていくのが寂しくて、俺は肥前のパーカーの袖を掴んでしまう。
(もっと、もっとほしい…)
俺は今どんな顔をしてるだろうか。熱と欲に浮かされた顔は醜くないだろうか。
袖を掴まれたことに一瞬驚いた肥前は、俺の顔に手を寄せて、目の下を親指で優しくなぞった。
慈愛に満ちたその表情に、俺は勘違いしてしまいそうになる。
触れ合うだけのキスを何度も繰り返していると、多幸感で本格的に頭が回らなくなる。