第58章 開かれる心
杉村の言葉が、ひび割れた私の心の扉をノックする。
とんとん、とんとん・・・
それは激しくはない。強引でもない。
軽く、優しく・・・あくまでも、私の心を蕩かすように・・・
あ・・・あああ・・・
うあ・・・
ピシリ、とひび割れが走る音がする。
軽く頭を振る。理性の、習慣の、過去の『私』の最後の抵抗。
しかし、一度揺らされた心は、燃え上がった身体は、それを振り切ろうとしていた。
ダメ・・・ダメ・・・なのに・・・
「深く・・・犯してあげるよ・・・」
脳の奥に沁み込むような杉村の声。それは、最後の一撃だった。
ドクンと心臓がひとつ、鼓動した。
ああ、壊れる・・・壊れていく・・・・
私の首がコクリと動く。
その瞬間、私がこれまでの人生で重ねていった心の壁は音を立てて壊れていった。