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淫夢売ります

第8章   もしも私が・・・


裏新宿、住宅街とオフィス街の狭間にひっそりと佇む「夢占 モルフェ」。
眉唾ものの噂だが、ここでは夢占いだけではなく、望みを叶える夢を売っているという。

友人等の噂話をあれこれつなぎ合わせてやっと見つけることができた。本当なら「モルフェを知っているか?」といろいろな人に聞いて回れれば楽なのだろうけど、ここで売っているというものがものだけにそれははばかられた。

私だって高校2年生の女子だ。やはり「淫夢を売っている」という店の場所を直接は聞いて回れない。

一見古い喫茶店の入口のようにも見える木造りの扉に、これもまた木でできた小さな札がかかっている。

『Oniromancie Morphée』

とある。eの上に点があるところを見ると英語ではないようだ。フランス語だろうか?

かろうじて、『Morphée』がモルフェと読むようだというのはわかる。
スマホで検索するとOniromancieは「夢占い」という意味だった。やっぱりフランス語だ。

要するに、ここが『夢占 モルフェ』なのである。

看板がかかっているということは開いているんだよね?
私はそっと扉を押してみた。案外すっと開き、店内に入ることができる。

間口から予想できるとおり、店内は狭かった。
ビロードのような黒い幕が幾重にも垂れ下がっており、そのいくつかには銀色の星や月などが飾り付けられている。

なんだかふんわりとお香のような匂いがする。

「すいません」
声を掛けると、暗幕の奥から「いらっしゃいませ。どうぞ」
と女性の声がした。

そっと暗幕を捲ると、正面に黒いクロスがかかったテーブルと椅子、その向こうに女性が座っていた。
この人が占い師だろうか?
意外と若いように思えた。黒いロングヘア、透けるような白い肌、白いブラウスと黒のベストという黒と白のコントラストがとても美しいと思った。
そして、何よりもその目が印象的だった。
店内の照明のせいだろうか?彼女の目は夜の闇をそのままガラスに封じ込めたような深い黒色だった。その黒は、彼女の怜悧な顔貌によく似合っていた。

「私はユメノと申します。どうぞ、おかけください」
勧められるままに席につく。
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