第6章 一線の向こう側
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夢占 モルフェのテーブルでユメノが一枚のカードを眺めている。
「うつむく女性の背後から笑いながら手を伸ばす男性」のカード。
不当な支配を意味している。
「卑屈なあいつにピッタリのカードだったのに」
そのままポイと黒いクロスのかかるテーブルに放り投げる。
「なんだって邪魔するのよ。カグラ・・・」
ユメノがぶぜんとして見つめる先には、カグラと呼ばれた黒髪碧眼の男性が立っている。
「お前はわざと説明しなかったな?」
「だーって義理なんてないもの。
『何度もカードを使用するおt、現実との区別がつかなくなりますよ』
なんて、教えてあげる必要ないじゃない?
私は夢を売っただけなんだから。」
そういって、ニヤリと笑う。
「お前は、ああなることが分かっていたんだろう?分かっていて止めないのは犯罪者も同然だ」
「あら、人聞きの悪い・・・。それに、あのまま自滅することも含めてあの人の欲望だった・・・っていうのもあるのよ?」
そう、欲望を抑えて周囲を見返すためだけに「立派な自分」を演出し続けることに疲れていた。だからこその破滅願望。
「詭弁だね・・・。たとえ無意識に死の本能があったとしても、よく生きたいっていう本能だってあったはずだ・・・。そっちだってお前の眼には映っていたはずだ」
そのウィジャの眼には、とカグラは言った。
「はいはい・・・。つまんないわね。まあ、いいわ。今回はあなたのマアトの瞳に免じて、ドローってことでいいわよ。」
カグラが店を出たあと、ユメノはテーブルに落ちたカードをもう一度取り上げる。
「今回はね・・・ただ、まだ・・・夢を見ているよ・・・この人・・・
次は、もう・・・ダメかもね」
ふふふふふ・・・
ユメノは誰にともなく、楽しそうに笑っていた。