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淫夢売ります

第30章   沈む海


☆☆☆
東京は実家があるので、頻繁に帰っていた。ちなみに佳奈の実家は愛知県なので、東京の土地勘がない。なので、ますます僕と行きたかったらしい。

「あ!ここだ!本当にあるよ・・・見て!Oniromancie Morphée・・・?フランス語かなんかかな?」
僕がスマホをかざし、翻訳アプリを通してみると、オニロマンシエ、つまりは夢占い、ということだ。後半はモルフェと発音するのだろうか?翻訳アプリは「モーフィアス」と出力した。サングラスを掛けたイケメンが無双する某映画のキャラでなければ、ギリシャ神話の「夢の神」の英語読みだそうだ。フランス語そのままの発音は「モッフィー」、続けて読むと、「オニホモッシ モッフィー」という具合の発音になるみたいだった。

まあ、佳奈にとってはそれはあまりどうでも良かったようで、要は「ここが夢占モルフェね!本当にあったんだ!」という感動のほうが先に立っていたようだった。

看板が出ているということは一応やっているのだろうけど、戸口は木製の扉のみで、窓もなく、中をうかがい知ることができない。本当に営業してるのかな?予約制だったりしないのだろうか?

僕が考えあぐねている横で、佳奈が「えい!」などと言いながら木製のドアを押し開けていた。
「真人、入れるよー」
普段ならそんなことしないくせに、本当に来たかったんだなと、改めて認識した。

店内は薄暗く、天井からは幾重にも黒いビロードのような布が垂れ下がっていた。ついでに星や月を模した銀色のオブジェがたくさん吊り下がっている。天井がさほど低くないので息苦しさはないが、店は横幅が狭く、奥行きばかりがあった。

扉を閉めた拍子にカランカランとベルが鳴った。おそらく開けた時も鳴ったのだろう。その音が来客の合図になっているようだった。

「いらっしゃいませ。奥にどうぞ」

女性の声が聞こえる。声の感じからして若いようだ。暗幕で仕切られた奥座敷に入ると、狭い店内に小さな机、その前に椅子がちょこんと置いてあり、その向こうに黒髪、黒服の女性が座っていた。服は胸のリボンまでも黒かったが、不思議と喪服チックではない。おしゃれな感じだ。そして、唇には真っ赤なルージュを引いていた。
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