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天狐あやかし秘譚

第86章 其疾如風(きしつじょふう)


まあ、はなから人間じゃねえとは思っていたが、
そういや、前にシラクモから聞いた時は、こいつのことを『神にも近しい妖怪』・・・神狐と呼んでいたよな・・・

面白れえ・・・

自分にはもはや敵はないと思っていた。警察だろうが、自衛隊だろうが、陰陽師だろうが。人間相手であれば、米軍と戦ったとしても負ける気はしなかった。しかし、妖怪はどうか?ましてや相手は神に匹敵するという。

試したい。

己がどの程度強くなったのかを試したい。
己の力が万物悉くを越えるものであることを証明したい。

俺が・・・一番だ。

「さっさとずらかろうと思ったが、ヤメだ。ここで、白黒つけてやる」

ーまずは『童子』で・・・

カダマシが空手の正拳突きの要領で拳を振るう。本気で突き出した拳から発せられる衝撃波は、例の『なのはな園』で戯れに放ったものとは段違いの威力を有していた。襲い来る不可視の衝撃波をダリは最小の動きで躱していく。

ドゴン!

地面に着弾したそれは、大きく土を抉り出していく。まともに当たれば鋼鉄製の車のボディにすら穴を開ける威力だ。

流石に避けるねえ・・・

ドン!ドン!ドン!

カダマシが左右の腕を連続で突き出し、衝撃波を連撃する。弾幕のように射出された衝撃波を、やはりダリは最小の動きで躱し、涼しい顔をしている。たまに避けきれなかった衣にかすり、その裾がほつれることはあったが、それもダリの超妖力で即座に修復されていた。

気に入らねえな・・・
顔がいいのがまず持って気に入らねえ。
お前もアレだろ?生まれながらに『持っていた』方だよな?

カダマシは後ろに少し跳び、ダリとの距離を稼ぐ。次の技にはある程度の『溜め』が必要だからだ。
その場で、右拳を前、左手を少し引く。両方の足をすり足で開き、正中線を揃える。

いったん、隙を作るぞ・・・

その状態から右足を上げ、振り下ろす。要は、大地を踏みこむ。

全ての拳法は、たとえ突き技であったとしての重要なのは『足』だ。足の筋肉は腕のそれの比ではない。その足で踏み込み、その衝撃を上半身に伝えること、それにより、効果的な「突き」を放てる。

そのために、踏み込むのだ。

しかし、『生玉』により、強力に高められたカダマシの筋力による踏み込みは、単なる攻撃の予備動作を超えていた。

ドゴン!
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