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天狐あやかし秘譚

第64章 家徒四壁(かとしへき)


「ままー!はやくー!!」
「はいはい」

清香ちゃんが満面の笑みで掲げているのは、幼児を対象としたボードゲームだ。サイコロを振って自分の持ち駒である『ねずみ』を進めていってチーズを集める、というすごろくみたいなやつだ。

ルール上は2人でもできるが、人数が多いほうが面白そうだ。

「芝三郎も、これ一緒にやらない?」

隣のテーブルで、カードをタワー状に積み上げるゲームをしていた芝三郎に声を掛ける。彼も快く応じてくれる。芝三郎は清香ちゃんを妹のように思っているフシがあり、彼女にはとても優しい。これはこれでとても微笑ましい。

じーっ

「じゃあ、ルールを読むからね」
箱の中からルールの説明書を取り出す。

じーっ

「ええと、自分のねずみのコマを一匹きめて・・・」

じじーっ

・・・
えーっと・・・。

いつのまにやら、私たちが座っている机の横にぴったり張り付くようにひとりの女の子が立っていた。じーっ、とこちらを見つめている。

5歳くらいかな?大体、清香ちゃんと同じくらい。肩までの髪の毛、赤いシンプルな吊りのスカートにちょっと色の合わない長袖Tシャツを着ていた。そんな子がおっきな目を見開くようにして私達を凝視していた。

じじじーっ

「あ・・・これ、先にやりたかった・・・とか?」
もしかしたら、次はこの子が借りる順番で、清香ちゃんが間違って持ってきてしまったのだろうか?そのことへの無言の抗議・・・とか?

尋ねるが、女の子はぶんぶんと首を振る。
違うらしい。

と、いうことは・・・?

「一緒にやりたい・・・の?」
恐る恐る尋ねると、女の子はにこーっと笑って頷いた。
なんだ、仲間に入りたかったのか。

「いいかな?」
私としては別に構わないのだが、二人はどうだろうと意見を求めてみる。
「拙者は構わないでござる」
「清香もいいよー!」

まあ、うちの子(?)はとてもいい子たちなんで、こう言うだろうことは予想の範囲・・・、などとちょっと親バカちっくな事を考えながら、その子を輪に入れてあげた。名前を聞くと、彼女は『みゆき』と名乗った。

「じゃあ、みゆきちゃんも入れてゲームスタートだね!」
改めてルール説明。
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