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天狐あやかし秘譚

第59章 淫祠邪教(いんしじゃきょう)


彼が何者かは分からないが、それだけの神宝を使える形で有している事自体、国家レベルの脅威である。そして、最悪なのは、陰陽寮の最高戦力である土御門が、それほど重要な神宝をみすみす奪われてしまった、という事実だった。

おそらく、東京に戻った際には、陰陽寮のトップである陰陽頭(おんみょうのかみ)だけではなく、その上位組織である宮内庁のお偉方からも厳しい追求があるだろうことは容易に予想できた。

これについて、土御門様は、ため息混じりに、「まあ、しゃあない」と言っていた。普段は面倒くさがったり、あれこれ文句を言うくせに、こういう時は、グダグダと言い訳をしないのはやはりかっこいいと思ってしまう自分がいる。

いけない・・・話を戻そう。

二つ目の問題、というか、憂鬱なポイントは、今回の事態で判明した名越家の秘密である。

結論から言えば、名越家は『本家』の犠牲のもとに『四分家』を繁栄させる、そんな仕組みを1000年以上に渡って維持してきた家系だったのだ。

このことは、あれだけ疱瘡神の近くにいたにも関わらず、全く感染の兆候を示さなかった名越鉄研に不審を抱いた土御門様が、彼に任意同行をかけ、『質問』(いや、拷問か?)をした結果明らかになったものだ。もちろん、陰陽寮隠密『八咫烏』の裏付け調査も行ったうえでの結論だ。

彼が話したこと、調査によって判明した事実・・・そこから見えたのは、なんとも穢らわしい物語だった。
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