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天狐あやかし秘譚

第52章 愛多憎生(あいたぞうせい)


☆☆☆
不義の関係が始まったのが春先だった。毎日のように真白と交わり、狂った獣のように犯し続けていたが、それが悪かったのか、俺の病状は急速に悪化した。

7月を迎える頃には、疲労感が激増し、活動範囲は更に小さくなっていった。
この頃、真白は逆に彼女の方から俺の部屋に来て、俺のペニスをしゃぶったり、自分のマンコを舐めさせてきたりするようになっていた。

どういうきっかけでこうなったのか、分からないが、当時の俺にとって、そんなことはどうでも良かった。むしろ、日に日に悪くなっていく病状から目をそらすために、更に深く真白の身体に溺れていった。

『真白・・・真白!・・・』
満足に挿入することも叶わなくなり、ただただ裸で真白と抱き合う。
情けない声を上げ、涙を流し、真白のぬくもりから一時の安らぎを得ていた。

『兄様・・・』
そんな俺の頭を真白は優しく撫でてくれた。

8月。ムワッとした熱気があたりに立ち込める季節を迎えた頃、俺は、一日の大半を寝て過ごすようになっていた。医師からは『想定より、病状の進行が早い』と言われていた。

死の恐怖が頭から離れない。
やせ細った腕、朽ちかけた皮膚、痛む内臓、
満足に呼吸すらできない・・・

真白が来てくれることだけが、俺にとって生きがいであり、安らぎだった。

そんなある日。真白が俺に言った。
『兄様、兄様・・・』

どこで知ったのかわからないが、真白はこの家にある足玉(たるたま)という神宝について俺に語った。それは体を健康にする作用があるということだった。

『兄様、足玉を持って、ここから逃げて・・・』

このときは、真白がなぜこんな事を言い出したのかわからなかった。いや、どちらかというと、『体を健康にする』という言葉で俺の頭はいっぱいになり、真白が何を考えているか、ということに注意を払う余裕がなかった。

その日の夜、俺はこっそり起き出して、動かない体にムチを打って、真白に教えられた場所、親父の書斎に侵入した。果たして、書棚の上段の中央の箱の中、という真白が言った通りの場所に『それ』はあった。

光のない部屋の中、『それ』は不思議な白い燐光を放っていた。大きさは数センチほど、古代の勾玉の形状をしていた。ただ、表面には白と黒の紋様がウネウネと蠢いており、鈍い光が息づくように微かに明滅していた。

これが・・・?
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