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天狐あやかし秘譚

第50章 一殺多生(いっさつたしょう)


「今頃、土御門様が天将を勧請しているはずです」

テンショウ?カンジョウ?
疑問符がいっぱいだ。陰陽寮に入ったときに受けた瀬良の授業にも出てきてない言葉だと思う。

「土御門家の始祖である安倍晴明は、十二の強力な眷属・・・使役できる妖怪のようなものですね・・・を従えていたのです。それは現代代々当主に引き継がれています。今はまだ土御門様は完全なる当主ではないですが、十二天将の内のいくつかはすでに引き継いでおります。それは式神として土御門様の手足となり働くんですが、『勧請』とは、その天将たちを呼び出すことを指す言葉です」

なるほど、ファンタジー小説で言うところの『召喚』みたいなものか・・・。
要は、自分の式神を召喚して、名越の動きを探らせ、疱瘡神を見つけようということ?

え?でも・・・

「いつの間に、そんなこと相談したの?最初からこうすることが決まっていたの?」
私が知る限り、そんなことをする計画、みたいなことは一切聞いていなかった。
「いいえ・・・。名越の様子をみて、土御門様がそうされようとしたんだと思います。私の方は・・・先程の土御門様の様子を見ていれば、何をするつもりか、わかりますし」

さも当たり前のように言う。
なんだろう。この二人。信頼しあって、通じ合って・・・。
何も言わないでも阿吽の呼吸で連携している感じだ。
すごいなあ・・・。

一応、文献を探す、という建前なので、あちこちの部屋を開いては中を覗いてみる。しかし、どこの部屋も人はおらず、まして、古文書のようなものはなかった。

「後は二階ですね」

この家の二階は、ちょっと奇妙な作りだった。

もともとは平屋の家に強引に二階を増築したように見える。一階とは建具の素材も様式も異なっていた。

洋風の階段を昇ると、短い廊下の先に扉があり、そこを開くと小さな部屋に出た。
そこには簡易なテーブルと椅子、流しがひとつある。今入ってきた階段に通じる扉以外に、右手と奥にそれぞれ扉がある。
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