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天狐あやかし秘譚

第15章 福善禍淫(ふくぜんかいん)


☆☆☆
やっぱり・・・ダメか。午前中、収穫なしである。
まあ、予想はしていたことである。それに、狸はともかく、清香ちゃんもいるので、そんなに長い時間歩き続けるわけにもいかない。小休止が多くなり、必然的に効率は下がる。

まあ、もしかしたら、0にいくつ掛けても0、といった具合に、効率上がっても成果でないのかもしれないが・・・。

「お昼にしましょう!」
まあ、悩んでてもしょうがない。とにかく今は腹ごしらえ。

先日のアウトレットでだいぶ散財してしまったので、家計を締めていかねばならない。今日はおにぎりを大量に作ってみた。芝三郎と清香ちゃんは役に立たないが、意外なことにダリは手伝ってくれた。彼からしてみると、電気炊飯器などはとても珍しいらしく、しきりに感動していた。

「手放しで米が炊けるとは、凄まじい妖術・・・。」

いや、科学ですが・・・。なにかの本で『行き過ぎた科学は魔法に見える』という言葉があったが、ダリにとっては妖術に見えるのかもしれない。本人に確かめたことはないが、テレビというものをどう理解しているのだろうか?一度聞いてみたい。

そんなわけで、家にストックしてあった色々なものをおにぎりにしてみた。米は3合炊いたからまあ、足りるだろう。

「おいしい、まま」
清香ちゃんは昆布のおにぎりをほおばっている。
「うむ・・・綾音殿、素晴らしく美味じゃ」
芝三郎はツナマヨ。
「我もいただくとしよう」
珍しくダリが油揚げ以外のものを食べる。前に聞いたことがあるが、稲荷神はもともと農耕神だという。秋祭りの時に米を供える習慣もある、ということなので、米も好きなのかな?そう言えば、日本酒も米由来だ。

私は梅干しをいただく。
おいしい・・・。

はあ・・・。
公園の木陰にレジャーシートを敷いて4人でおにぎりを食べている。空は抜けるように青くて、風は涼しい。日陰にいると本当にちょうどいい陽気だ。傍から見たら私達、幸せな家族に見えるのだろうな・・・。

はぐはぐとおにぎりを食べる清香ちゃんと芝三郎はたしかに可愛い。こんな長閑な時間が続けば良いのだが、実際のところは、かなり追い詰められている。

どうしたもんかなあ・・・。
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