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天狐あやかし秘譚

第13章 合歓綢繆(ごうかんちゅうびゅう)


土御門様のお付きは、いつも迷惑かけられているし、意地悪されて大変だ。
正直、最初あった時は本当に嫌いだった。

はあはあと肩で息をし、恍惚としている私に、土御門様が軽く口付けをしてくれる。
ついで、ほほに、最後に額に。

「今日も、ありがとな・・・夕香」

ここで、名前呼びとか、すんな・・・。これはお役目だからしてるんだし・・・。
好きあって、セックスしている恋人ではないのだから。
こうして霊力を高めることが、日本の霊的守護にとって不可欠なことだから、やっていることなのだ。

「このまま、くっついて寝よか?瀬良ちゃん」
ぎゅっと裸の私を抱き寄せてくる。しかし、私はその体を引き離すように腕を突っ張る。
「もう、お勤め、終わりですから・・・・」
そうして、無理やり身体をベッドから引っ張り出した。

「なんや、冷たいな」

これは仕事、仕事だから・・・。単なるお役目、主と従者という家柄の関係。
そう思っていないといけない。これ以上は近づいてはいけない。情が絡めばおかしなことになりかねない。

私はナイティを身に纏い、そそくさとソファベッドに横になった。
土御門様は「ちぇ」とつまらなさそうに舌打ちをするが、追っては来ない。どこまで本気で、どこまで冗談か、やっぱりわからない。

ころんと、横になる。土御門様に背を向ける格好だ。
「おやすみなさいませ」

「ああ、おやすみ。明日もよろしくな、瀬良ちゃん」

はい、と心の中で答える。背中は向けている。向けているが、胎内に出された彼の精液の匂いが体中から立ち上っているように錯覚する。

離れて寝ていても、まるで、抱きしめられて寝ているような、そんな気がしてしまうのだ。
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