第2章 発現と出会いと喪失
胸に刺さる痛み――それは恐怖だけではなかった。
両親の温かさ、笑顔、声、すべてが遠くに行ってしまった感覚。
幼い心に刻まれる「失う痛み」と「守れなかった悔しさ」。
涙は止まらない。体は震え、声は出せない。
小さなは、自分が何もできなかったこと、そして愛する家族を守れなかったことに胸を押さえられる。
しかし、その混乱の中でも、の胸の奥に一つの光が芽生える。
「……私は……誰かを守る……守りたい」
震える声で小さく誓う。
守れなかったことを悔やむだけではなく、次は絶対に誰かを救う力を持つ、と。
は泣きながらも、彼の腕の中で助けてくれたヒーロー'ベストジーニスト'に抱えられ少しだけ心が落ち着いた。
両親はもう戻らない現実を理解しながらも、腕の中の温かさに僅かな希望を感じた。
家の中はまだ煙と破壊の余韻に包まれていた。
は母の胸に顔を押し付け、嗚咽を漏らしていた。小さな手は震え、胸は締め付けられるように痛い。