【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第5章 A Heart Divided
今思えば––––。
部活も終わって、進路も見えてきた今。
抑えきれなくなったその気持ちが、あの日の“告白”へと繋がっていったのだろう。
(――クロは馬鹿じゃない。)
バレー部の主将として、どんなに普段だらしなく見えても、肝心なところでは絶対に線を引く男だ。
部に迷惑をかけるような真似だけは、絶対にしないと分かっていた。
もし高校を卒業してからのことなら、それはもう自己責任だ。
(……それでいい。)
クロが仁美への想いを断ち切って、まどかのもとへ行く。
それが、誰にとっても一番いい形だと思っていた。
仁美の傷心は、自分が癒せる。
それくらいの自信はあった。
長い時間、仁美の一番近くにいたのは、自分だから。
彼女の涙を受け止める役くらい、自分がやるべきだと、どこか自然に思っていた。
そうすれば–––––。
きっと、3人でいられる。
形は少し変わるけれど、それでもずっと。