【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第14章 The Geometry of
仁美の指が研磨の腕に食い込んだ。
研磨は動きを止めて仁美を見下ろした。
睨むように自分を見てくる仁美に、研磨はいつも通りの表情だった。
研磨と目が合うと、仁美はさらに顔を顰める。
「…なんで、なんでこんなことするの?」
「…………………。」
黒尾が付けた痕が研磨の目に入る。
研磨はシーツを掴んでいた手を離すと、そっとその痕を指でなぞった。
「…なんでって…俺の方が聞きたいんだけど…。」
そう淡々と告げる研磨に仁美は息を呑んだ。
「っうっー。」
グッと研磨の腰がさらに押し込まれて、仁美は声を漏らした。
「…なんで俺からも離れたの?」
研磨の声は静かに…。
しかしこの三年間を問いただす声色だった。
「…俺って結局、クロを繋ぐための存在だった?」
仁美の言葉を聞いて、仁美はそこで初めてこの三年間で研磨を傷付けていたと気づいた。
「……違う…。」