【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第13章 Beyond the Broken Line
–––––––––––
リビングのローテーブルに並んだ惣菜の皿は、思っていた以上に賑やかだった。
唐揚げ、サラダ、焼きそば、そして買ってきたビールとジュース。
黒尾は缶ビールを片手に、すでにほんのりと頬が赤い。
「これうまっ。やっぱコロッケは揚げたてじゃなくても正義だなあ」
と、まるで昔に戻ったみたいなテンションで話している。
仁美も同じように缶を手にして、黒尾の話に笑いながら相槌を打つ。
大学生になってから初めて見る、少し大人びた酔いの入り方。
だけど笑い方は高校の頃と変わらない。
「研磨、食べてる?」
仁美に言われると、研磨は箸を静かに動かし始めた。
黒尾が豪快に笑うと、仁美もつられて笑う。
二人の声が重なるのを、研磨はコーヒーの缶を指で軽く叩きながら聞いている。
お酒が入ってテンションの高い黒尾の指が仁美に触れる。
黒尾の目線から研磨はそれがワザとだと分かるけど、仁美は全く黒尾の意図に気付いていなくて笑顔だった。