第17章 無一郎の嫉妬と意地悪〜時透無一郎【強R18】
時は無一郎の屋敷に連れ帰られた一週間前に遡る。
「今まで使っていた部屋を使ってください。またゆきお姉様と暮らす日が、来るなんて想像もしてませんでした。」
少し嫌味ったらしく凛に言われた。
食事の時間凛は楽しそうに無一郎に話しかけていた。無一郎は無表情だが受け答えをちゃんとしていた。
昔は無視してたのに案外仲良くしてるんだなとゆきは感じた。
「師範、今日もお部屋で肩や腰をお揉みしましょうか?」
凛が、目をキラキラさせながら無一郎を見ていた。
無一郎は、横目でゆきを見ながら「そうだね。色々してもらおっかな?部屋においで」
と言った。
ゆきは、思わず無一郎の顔を見た。無表情でじっとこちらを見ている。
凛は顔を真っ赤にして固まっていた。
「む、無一郎くん?」
「ゆきは疲れてるだろうから風呂入って寝たらいいよ。」
部屋に移動しようと無一郎は立ち上がった。ゆきは、無一郎の袖を掴んだ。パシッ
軽く払い除けられた。
「風呂に入って冨岡さんの匂いが消えるまで綺麗に洗ってきて」
無一郎の後を凛がゆきを気にした様子で見ながらついて行った。
グスン、グスン…
お風呂の中でゆきの泣き声が響いていた。一生懸命体を洗った。義勇の感触を忘れたくていっぱい擦った。
自分の部屋に戻る時に、無一郎の部屋の前を通った。中から凛の声が聞こえてくる。
よく聞こえない…何してるんだろう…。扉に手のひらを置いたその時勢いよく戸が開いた。
「盗み聞き?」
無一郎だった。
「違います、たまたま、その…」
奥から凛が出てきた。
「あらゆきお姉様。」
「気持ちよかったまた明日も頼む」
「あっ//はい❣」
得意気な表情をゆきに向けて凛は自室に帰って行った。
その場に立ち尽くすゆき
きちんと拭かなかった髪から水滴が肩に滴り落ちていた。水滴は浴衣を濡らし体が透けて見えていた。
先程まで部屋で肩やらを揉んでくれていた凛には、到底ない色気だった。
「あの、無一郎くん。ちゃんと洗ってきました」
僕より5つも年上なのに、継子でいた時の名残が抜けず未だにきちんとした言葉を使ってくる。
こんな子供の僕に…
「おいで」
中に入るとお布団が引いてあった。もしかして無一郎くんここで凛と…