第21章 記憶の誰か~冨岡義勇 時透無一郎【R18】
「おい!ゆき!?僕の事試してるの?なんで忘れたふりするの?」
無一郎がゆきに詰め寄るので不死川が止めにはいった。
「やめろ時透」
「あの…ごめんなさい。わからなくて」
ゆきが震えて怯えている。不死川が背中をさすってあげて落ち着かせた。
「不死川さん義勇さんは?」
「鴉を飛ばしたからじき来る」
なんだよ、何で冨岡さんなんだよ。何で僕を忘れるんだよ。
扉が勢いよく開いた。そこには、義勇が息を切らして立っていた。
「義勇さん!」
義勇の顔を見るなりよろけながら不死川の腕を抜けて義勇の胸に飛び込んだ。
いきなりの事で義勇も訳がわからなかった。戸惑う義勇に不死川が教えた。
「高熱で時透の記憶がすっぽり抜けちまっている」
まだ熱があるので義勇の胸でぐったりしている。
今日はとりあえず不死川の屋敷でゆきを休ませる事にした。
次の日蝶屋敷に連れていきしのぶに診察してもらった。
「高熱による記憶障害ですね。言いにくいのですが時透くんよっぽど傷つくような事をゆきさんにしたのではないでしょうか?」
無一郎は、ショックで言葉も出なかった。それにゆきは義勇に婚約者が居ることも忘れていた。
記憶が戻るまでお館様の命で、ゆきは義勇の屋敷で生活する事になった。百合はその間実家に戻る事になった。
義勇にとっては幸せな生活だった。
数日たったある日…
ゆきは義勇との今までの出来事も忘れていた。
だから色々新鮮だった。
竹刀の持ち方を直すために後ろから指導するだけで頬を赤らめるのだった。
どうやらゆきは俺にほのかな恋心を抱いている時の記憶が残っているみたいだった。
その夜ゆきはお風呂から上がり部屋に戻る時だった。
「ゆき部屋に来い」
義勇に呼び止められた。何だろう緊張するな…
部屋に入ると義勇が近寄ってきた。心臓が止まりそうだった。
「あの…師範?」
「こういう時は名前で呼んでほしい」
そう言われて唇を奪われた。似たような言葉前にも聞いたことがあるような気がする…
考えようとした時に、義勇の舌が激しく絡んできた。苦しいし恥ずかしい…なにこれ?
「や、やめてください」
「嫌だずっと我慢してた」