第33章 待ちに待った初戦
こうして仕事をするものの、加賀の視線に耐え切れなくなり、雅も切り上げて寝室に向かう事にした。ベッドに入ればグッと腕が前に回ってくる。
「…たく…いつもこんな感じだったとかは言わねぇだろうな」
「え?なんで?」
「…いや、人知れずこれだってんなら熱でぶっ倒れるのも頷けると思ってな」
「あれは…ほんと情けなかった…」
「でもこれからは大丈夫だ、俺が傍に居る」
「…ん」
「あの時みたいに送るのを断る理由もねぇしな」
加賀の腕の中で雅は体の向きを変えてすり寄っていく、そんな相手をそっと抱きしめた。
「あんな風に倒れないように気を付ける」
「俺がさせねぇよ。」
「でも…どうしてもやっぱりデータって難しいとかもあるし…」
「関係ねぇよ」
そっと肩を押し戻せばするっと頬に手を添える加賀の指に目を細める雅。
「休めるときにはしっかりと休め。いいな?」
「ん…でもね?」
そういうとそっと雅から触れるだけのキスを交わす。
「…これだけで十分回復するんだ」
「安いな、ホント」
「安くないよ、皆欲しがると思う」
「でも、あげれんのは雅だけだな」
「…ヘヘ」
「こうやって甘えてきてキスねだる時は大抵寂しいか、不安か、疲れてる時だしな」
「…そんなことないよ?」
「…クス…今はそういう事にしといてやるよ」
そう返事をすれば、加賀の方からもキスを交わすのだった。