第18章 二か月の空白と、再会
そっと袋を覗けば嬉しそうに笑った加賀を見て雅はほっと胸をなでおろした。
「…寒いから助かる」
「でもバイクのル時には邪魔かもだけど」
「でもピットの中は要る」
「そう?…でもよかった」
「ん?」
「『しょーもな』って言われなくて」
「言わねぇよ、新条の時じゃあるまいに」
「クスクス…覚えてたんだ?」
「あぁ…・・と、もう一つ?」
「……ッ」
小さな箱を見つけて加賀は取り出した。
「そういう事、」
「…あの、重たかったり使えなかったら…捨ててくれていいし…」
「なんでんな事言うんだよ」
「アクセサリーは好みあるし…ッッ」
しかし見ている前で加賀はシャラっと首にかけた。
「…どう?」
「…似合う、と思う」
「自画自賛?」
「だって…!」
「シー…」
つい声が大きくなりかけた雅の声を制するように加賀は自身の唇に人差し指を立てた。
「…ッ…ごめんなさい…」
「ん、」
少し話をすれば食事も運ばれてきて食べ始める。雅のスイーツも運ばれてきてゆっくりと食べていた。
「…うまい?」
「ん、おいしい、食べてみる?」
「ん」
そうして一刺ししたドルチェを差し出そうとするものの一瞬躊躇い他のカトラリーを探し出した時だ。
「…それでいい」
そう言って加賀は雅の手を取りスプーンを自身の口に運んだ。
「ん、上手いな」
「…ッッ…誰か見てたら…どうするの」
「別にいいだろ、彼女との食事だって何が悪い」
「…そういうとこ…変わってない」
「クス…」
久しぶりの食事、二人きりの時間もあっという間に流れていく。会計をしようとするとき、雅も出そうとしたが加賀に制止された。
「ご馳走様」
「いえいえ」
店の扉からそっと手を繋ぎ直す加賀の手に誘われるように雅も指を絡めて歩き、車に向かっていった。