第17章 そらとぶうさぎの秘密の部屋
「それにしても…時間…結構
掛かったんじゃないのか…?…この絵」
『はい…他の絵の傍らに
描いていたのと
サイズが…大きいので……
ちょっとずつ天候と相談しながら
…1年と…6ヶ月ほど…』
屋上の中央には大きな丸い
満月が描かれていて。
沢山のウサギ達は月から
降りて来たみたいにも…月に
向って飛んでいる様にも…見える。
ウサギは沢山…
絵の中に描かれているが。
そのウサギは1匹1匹耳の感じとか
顔の表情とか体の色が違っていて。
どのウサギも個性的な感じだった。
俺は…移動しながら…、
唯花が描いた屋上の絵を…
見下ろしつつ見て回る。
外に展示するから画材はペンキだが…
表面に保護剤が塗ってあって
コーティングされている。
ある…ウサギを見て…俺は足を止めた。
真っ白のウサギで…耳の先がピンクの
そのウサギはどことなく
ましゅまろを連想させる感じだ…。
このウサギを仮にマシュマロだと
仮定して…周囲のウサギを見てみると。
あっちのウサギはカノンに…
そっちのウサギは
何となくヒメに似てる気がする。
「ユイ…もしかして…この絵に
描かれているウサギ達は……
モデルが居るのか?」
『もう…巣穴から
巣立った子も居ますけど、
私が…ラビットホールで
出会った子達です…』