第3章 ばれた
教室に戻ると、野木は友達と楽しそうに話をしていた。
お前ら騙されるな、あれは優しさを取り繕ってるただの自己中野郎だ。
心の中でそう言い奴を睨む。
「あ、貴夜お帰りー」
春樹と翔平が手招きしている。
俺はほっと息を吐いて2人のもとへ向かった。
「何してたの?」
「資料室に資料運ぶの手伝わされた」
「何でまた貴夜に」
それは弱味を握られているからだ。
何て面と向かって言えないため、俺は「さぁ」ととぼけておいた。
放課後、いつもの様に幼稚園へと姫果を迎えに行った。
先生と別れて、姫果と手を繋いで家路につく。
「今日俺バイト休みだから」
「本当?やった、じゃあいっぱい遊ぼうね!」
嬉しそうに笑うな、こいつは。
最近遊んでやれてなかったからな。
寂しい思いいっぱいさせてると思う。
いつか安定した生活が出来るようになったら、いっぱい遊んでやりたい。
多分それが、今の目標。
「ねぇ貴夜兄、土曜日は何処か行くの?」
「あぁ、クラスメイトとちょっと出掛けるんだ」
寂しそうに「そうなんだ」と呟く姫果。
俺は安心させるように、優しく姫果の頭を撫でた。
「すぐ帰って来るよ」
俺がそう言うと、姫果は満面の笑みを俺に向けぎゅっと手を握った。