• テキストサイズ

ツンデレ王子と腹黒王子

第3章 ばれた


教室に戻ると、野木は友達と楽しそうに話をしていた。

お前ら騙されるな、あれは優しさを取り繕ってるただの自己中野郎だ。

心の中でそう言い奴を睨む。


「あ、貴夜お帰りー」


春樹と翔平が手招きしている。

俺はほっと息を吐いて2人のもとへ向かった。


「何してたの?」

「資料室に資料運ぶの手伝わされた」

「何でまた貴夜に」


それは弱味を握られているからだ。

何て面と向かって言えないため、俺は「さぁ」ととぼけておいた。





放課後、いつもの様に幼稚園へと姫果を迎えに行った。

先生と別れて、姫果と手を繋いで家路につく。


「今日俺バイト休みだから」

「本当?やった、じゃあいっぱい遊ぼうね!」


嬉しそうに笑うな、こいつは。

最近遊んでやれてなかったからな。

寂しい思いいっぱいさせてると思う。

いつか安定した生活が出来るようになったら、いっぱい遊んでやりたい。

多分それが、今の目標。


「ねぇ貴夜兄、土曜日は何処か行くの?」

「あぁ、クラスメイトとちょっと出掛けるんだ」


寂しそうに「そうなんだ」と呟く姫果。

俺は安心させるように、優しく姫果の頭を撫でた。


「すぐ帰って来るよ」


俺がそう言うと、姫果は満面の笑みを俺に向けぎゅっと手を握った。
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp