第54章 あなたの愛で繋いで
「だったら俺も言わせて貰う」
「…三蔵?」
「悟浄に触れんな。泣きたくなっても悟浄の所に行くな、っていうか、あの男に近付くな。」
「…クスクス…相手悟浄ばっかり」
「嫌なんだよ。泣いてる時に泣いてるのが、いつもあいつの腕の中だってのが。」
ふっと口角を上げながらも三蔵は話していた。
「なんで悟浄相手だとそんなに反抗期の子供見たいになってるの?」
「うるせぇよ」
「ねーねー!!」
「黙れ」
そう短く応えると三蔵は引き寄せて雅を抱き寄せると唇を重ねた。
「そぉいえば、さっき悟浄言ってたの、なに?」
「…気にすんな」
「するよ、このリングでしょ?」
「…たく…悪かったな…歪で…」
「えー?そんなこと無いよ?何で?」
「俺が作った…」
「嘘……」
「嘘吐く意味あるか?こんなことで」
「だって…!いつ?」
「誕生日の少し前…つか、悟浄の誕生日にいた街。あそこで作った。」
「…だってあの時…毎日出掛けてて……あ」
「こうなるから言いたくなかったんだが…」
「三蔵…照れてる?」
「…ッッうるせえよ…」
「ありがと…知らなかった…」
「もう、先に寝ろ」
「……三蔵は?」
「もう少し起きてる」
「じゃぁ…私も…」
「無理するな。先に寝ろ」
そうして雅をベッドに入れると三蔵は椅子に座りたばこをだす。火を付け、プカリと吹き上げた。
「チッ…悪趣味な女だな…」
プツリと呟くと気づかない振りをしてたばこをふかしていたのだ。そう、扉の外では怜音が盗み見ていることに気付いていた三蔵。今雅と離れたらあの女は何をするか解らない…そう考えて三蔵は怜音が離れ行くまで起きているつもりでいたのだ。
翌朝、寝不足になっている三蔵。それでも普通に起き、何もなかったかの様に振る舞っている。大晦日当日で、のんびりと過ごしていた。そんな中での昼下がり、雅の元に怜音がやってきた。
「あの……ちょっと良いですか?」
「え……私、ですか?」
「はい、ちょっとお聞きしたいことがありまして……」
「あ、何でしょう…」
「ここじゃ…少し……聞きにくくて」
「ここで話せ。」
「三蔵…ッ!!」
「俺等がいたら不都合なのか?」
「…ちょっと、女性同士の話で……」