第4章 〈1章4話3P〉【10 11 12】
〈第1章 子供時代編〉【12 最後のシーン】
〈04/10話│3(2/2)/3P│1500字〉
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無事に予定通りの三週間後に[東の海]に辿り着いた。
その時に[彼]が脱出を図る…はず。
(無事に[原作通り]になりますように…)
レイジュさんに宣言する『コックになりたい』とかも本当は聞きたかったのだけれど、あれからは全く会っていない私は原作の流れを信じて見守るほかない。
(少し、レイジュさんの背中を押したけど…)
恐らく、コジアに上陸した時が[脱出する日]になると思われるので、現場になる鍵置き場で人知れず気配を殺して隠れている。
すると───
ヘルメットマスクを被っている子供が鍵置き場で一本の鍵を外そうとしているところにジャッジさんがタイミングよく現れた。
二人で少し話して、刃物を向けた息子にひどいことを言う父親。その後にサンジが大泣きする──というのが尾田先生の[原作]の流れ。
(分かってた…分かってた!!なのに……)
『原作通りになってよかった』
『そのために色々と画策したのだから』
『これからは幸せの道を歩んでねサンジ』
と、本来は喜ぶべきところにも関わらず。
あんな切ない声をリアルで聞いてしまったら、もはやなにも『よかった』なんて思えない。
全てがもう───本当にどうでもよくなる衝動に駆られていき、抱きついてなぐさめたくなってしまう。
(こんな泣き声はもう聞きたくないよ。どうかどうか、サンジのこれからの人生で、こんな風に泣くことは二度とありませんように……)
動き出しそうな自分を抑えるために、握った拳に食い込ませた爪も指も血だらけになるほどだった。その指で彼の幸せをひたすらに祈る。そして限りない感謝を。
「……にいさま……ありがとう……」
ちゃんと[原作]のストーリー通りに[ジェルマ王国]から出られて[海賊王のコック]への栄光と幸せの道を運命的に歩みだしたことよりも『サンジが笑える人生』が訪れることを、切に切に願った。
それが…私の一番の願いだから。
([サンジのストーリー]では辛くて怖いことはまだ起きるだろうけども………早く『幸せを噛みしめられる日々』になればいい。素敵な人達と出逢ってね……サンジ……)
執筆日〔2024,06,30〕
変加筆〔2025,04,04〕
