第6章 断罪イベントは蜜の味
―――こうして私、悪役令嬢の断罪イベントは終わった!
だけど日常は終わらない。
私は明日も起きて次の王位継承者の為にお后教育続行だ。
場はしらけ切っていたけれど、みんなそれぞれパーティーを楽しみだしている。
私はバルコニーに出た。そこには青い薔薇が目一杯いけてあって。
―――いつか今着ているドレスより深い青、薔薇と同じ王家の象徴であるロイヤルブルーのドレスを纏いフィリップ様と踊りたかったな。
ため息をついていると、肩を叩かれる。
「義姉上、……ああもう違うのか」
フィリップ殿下の弟―――ニルスだ。
「良いわよ、義姉上で」
昔はフィリップやニルスと屈託なく遊んだ時もあった。
楽しかったな。
「いや、義姉上ではなく、今日から、『ヴェロニカ』と呼ばせて頂けませんか?」
ニルスの言葉は何だか硬い。どうしたのだろうとポカンとしていると、彼は私の足元に跪く。
「あなたをお妃に出来るよう、頑張らせて頂きたい!」
―――え?
つまり、それは次の私の婚約者に名乗りを上げるってコト?!
それはまだ何だか私の中ではしっくり来ないけれど、面白いから笑う。
「分かった。待ってるわ」
―――さあ、私はヴェロニカとして楽しむわ。
ヴェロニカがどうしちゃったのかは分からない。
天国に行っちゃったのか、私と同じ様にあっちの世界に行ったのか。
―――でも、あなたも幸せになってね。
私も幸せになるからさ。