第2章 〈天竜人編┃10話完結〉子供時代
〈第1章 ┃01/10話〉【01 輪廻転生】1/2P
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目をこすって欠伸をしながら目覚めると、そこには知らない光景が広がっていた。
全てがぼやけて見えているので、はっきりとは分からない。だけれど、なんとなく陽の光のような温かい光に柔らかく照らされている空間にいる気がする。
恐らく一人だけだったが、その温かさは安心できる心地いいものだ。
(あれ?…私…死んだんじゃなかったっけ?)
うっすらと思える自分の最後の瞬間は確かにあるみたいで、その時にあった痛みや恐怖も思い出すことができる。
でもそれ以上のことを思い出そうとしてもなにも分からなくて曖昧な感情と印象だけ。
(はて……?ここ、天国…??)
よく分からない感情だったので、ただぼーっとしていたのだけれど、そこに見えるのは見覚えのない知らない天井が広がっている。
今『室内にいる』というのは分かって、誰かの話し声もかすかに聞こえた。
動いてみたら軽い動作しかできずに寝返りすらうてない。なにげなく手を見たら───そこにあるのは自分なのにすごく小さな手指。
(赤ちゃんの手?……え。これ私の手なの?あんまり動けないのは『死にかけたけど、なんとか一命を取り留めて、でも重症になったから動けない』………とかだと思ったのに)
どうやらここは『現実の続き』でも〈天国〉でも、もちろん〈地獄〉でもないみたいだ。
(私はやっぱりあの時に死んで、それでまた産まれた、とかなのかな?だけど………なんか記憶が…………んうぅ?あれ?)