第5章 嫉妬
少し苛立ちを滲ませた四ノ宮と向き合う。
美影は説明を僕に任せて逃げてしまった。
たぶん四ノ宮が怒っているのは、この曖昧な関係を強いている僕に向けてだろう。
「泣かせたないねん。」
他人よりも早く死ぬであろう僕と一緒になって今よりも大きな感情を抱いた時、僕が死ねば、彼女はきっと泣き崩れ僕の後を追うだろう。
今の関係を続けていても泣かせてしまうのは目に見えているが...。
後を追う彼女をこの手で止めることが出来ない、それがなによりも悔しい。
「何よりも大切やから、誰よりも愛しとるから...気持ち伝えたないし、誰にも取られたくないねん。」
四ノ宮は何も答えないが言えることは言ったので、早く戻るよう伝えて屋上を後にした。