• テキストサイズ

Sweet Love* Part2

第19章 *怖がり*〜宮地清志〜


香奈side


『ぎゃぁぁぁっ!!!』


「ひぃぃぃぃっっ!」


「おー、こえーこえー」


ホラー映画に本気でビビるあたしと、棒読みの清志。
ホラーが苦手、嫌い、大嫌いなあたしが、何故こんなものを見てるのか。
簡単な事だ。

…清志に見せられてる。


「ほら、ちゃんと顔上げろ。お前のための映画鑑賞だろ。」


「もうやだよぉぉ…。トラウマ改善どころか、トラウマ増えちゃうよぉ…っ」


半泣きの状態で、隣の清志に抱きつく。
でも、全然安心しない。
そんな事も知らずに、幽霊は人間を…


「清志の、バカ…嫌い…」


今まで涙目だったあたしの目から、ついに涙が零れた。
さすがに慌てたのか、清志はあたしを抱きしめ返す。

リモコンの一時停止ボタンを押すと、テレビの動きが止まった。


「悪かったって…。」


「許さないし…」


そんな優しく抱きしめられたって、
撫でられて安心したって、
絶対、絶対…


「…俺がちゃんと側にいてやるから。」


「誰のせいと…思ってんの…っ」


まだ許さないって言うように、清志を睨む。
けど、心の中ではもう、許していた。


「けど…」


「ん?」


「優しくしてくれた…から、こ、今回だけは許す。あと、嫌いっていうの、ごめん…。す、好き。」


「ん、俺も好き。」


そう言って、三回くらいキスされる。
ちゅっていうリップ音が、静かな部屋によく響く。

それを聞いたあたしは、顔を真っ赤にさせた。


「恥ずかしいんだけど…。」


「何が?」


「静かにキス出来ないの?」


清志はいつもこうだ。
あたしは、リップ音とかそういうの、恥ずかしいから苦手なのに。


「だって、こっちのがキスしてるって感じするだろ。いいじゃん。」


…まぁ、今だけは、なんか安心するから許してあげる。
そう思ってた時。


「よーし、んじゃ、続き行くか。」


「…はぁぁぁっ!?」


そう言って、清志はまたリモコンの再生ボタンを押す。
結局あたしは、最後まで映画を見せられ…
もう許さないと、心に誓った。


*怖がり*

怖がって泣きついてくるのが可愛い…
なんて、
彼女には言わないでおこう。
/ 141ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp