第6章 綺麗な花にはとげがある
急に唸りだした。
「みーちゃん…。」
チャイナは元気がなくなってきた。
「はあ、はあ…。」
姉さんはどんどんひどくなっていく。
「みーちゃん、なんで今まで黙ってたアルか?!こんなに苦しんでいるのに…なんでもっと早く言わなかったヨ…。」
おそらく、悪夢のことだろう。
姉さんが言わないでほしいと昨日言っていたことに一つだ。
「ぎ………ん…ときぃ…。」
旦那の名前を呼び始めた。
旦那がピクッっと体を動かす。
「はあ…はあ…。た…すけて……。」
我慢できなくなったのか、旦那はチャイナを押しのけて、姉さんの手をつかんだ。
「銀ちゃん…。」
「…俺ならここにいるぞ、緑。」
姉さんは少し安心した顔をした。
旦那が手を握っている間は、なぜか唸らなくなった。
「みーちゃん…ほんとはさみしがり屋ネ。」
「…だろうな。」
すると、チャイナはさみしそうな顔をした。
「……みーちゃんはどんな夢見てるアルか。」
その答えを知るのは、本人しかいないだろう。
「さあな。」
「私、みーちゃんの夢みたいアル!」
それは無理な話でい。
人間は、人の夢を見るなんざ、到底できねえ。
「…みたいのか?」
旦那がチャイナを見つめた。
「おうよっ!」
「なら、いいもんがあんぞ。」
そういって、着物から取り出したもの。
箱だった。
「…何アルか?これ。」
「げんがいのじいさんがよ、作った奴。夢見せマシーンらしい。」
げんがいって誰だよ。
「じじいがつくった奴アルか!」
「ああ。」
そういうと、姉さんの頭の上に乗せた。
「この箱をひらいたら、見れるらしいぜ。」
「まじか!」
「ただし、この部屋にいる奴らは、強制的に全員行くことになるから、行きたくない奴は、この部屋から出ろ。」
ほんとかはわかりやせんけど…。
「俺は行きまさあ。」
「僕も行きます!」
「俺は行かね。」
旦那は部屋を出ようとした。
「どうしてアルか!?」
「…あんなとこ行きたくないから、お前らだけで行きな。」