第16章 目覚め
晋助はそういうと、少し私の前で距離を置いて走り出した。
「変わってない…って……。」
「あのころのてめえはわかんなかっただろう…けっ!どっ!よっ!!」
しゃべりながら斬っていく。
ドシャアアアア
「今のてめえなら、わかるよな?」
……わからないと言ったらうそになる。
だけど。だけど。
わかると認めてしまったら。
………なんだか、戻れない気がした。
「……わからないわ、まだ。いまいち。どういう意味なのかはわかるけど。」
「…それで十分だ。」
そしてまた斬りだす。今度は無言で。
晋助は本当に強い。強い上に頼もしいし、私も晋助のことは大好きだ。それは、昔も今も変わらない。
でも、それが恋愛対象としてという意味だったら、違う。
私は晋助のことを好きではない。
私が…好きなのは……誰なのだろう?
「返事をくれとは言わねえ。失恋しちまってるっていうのは、もうわかってらあ。」
「え?」
「わかってる」という言葉に、すかさず反応してしまった。
「俺のことは見てねえってことぐらい、わかるって言ってんだよ。」
「ああ…、そういうこと…か…。」
何をそれで安堵したのか私にはわからなかったが、とりあえずほっと一息吐く。
「……いつかは見返してやるけどな。」
そういうと、再び城に向かって走り出した。
「見ろよ緑。もう城の門だぜ。立派な門構えだねい。見てるだけでつぶしてえ。」
私と晋助は、城に到着した。
~総悟SIDE~
「ほうわああああちゃああああ!!!」
後ろのほうで、チャイナの声が聞こえる。
「たあああああああ!!」
新八君は相変わらずのようだ。
俺は、すっすっすっと天人を斬っている。
だが、先頭までにはまだまだ先がある。
「キリが!!な!!い!アルなああああ!!!」
「そ!だね!!これちょっと!!きつい!!かな!」
ったくこれだからおこちゃまは…。
早く来いってんだ。