第5章 新しい習慣
side
はベンチに座り、練習を見ていた。
(氷織くん、ゴール前になると急にやる気無くすんだよな…すごく上手なのにもったいない。どうしてなんだろう。あとで聞いてみようかな)
はマネージャーとして馬狼以外のことにも目を配っていた。
キョロキョロしているとある人物の姿が目に入った。
(あの子…照英と最近話してる子だ)
鹿野であった。
(あの子が見てるのは多分…)
は鹿野の目線を追った。
(やっぱり…照英だ。玲王くんのファンはたくさんいるけど、照英のファンは私以外で初めてだよね…)
の中には少し黒い感情が渦巻いた。
しかし、そろそろ休憩時間に入るため、部員たちのドリンクとタオルをは取りに行った。
鹿野side
鹿(私サッカー全然知らないけど…わかる。馬狼くんのサッカー、すごい…)
鹿野は馬狼に夢中になっていた。
鹿(豪快で、だけど狙いは正確で、まるで…狩をするライオンみたいですごく…かっこいい)
鹿野はフェンスにかじりついて、馬狼を見ていたが、ふとベンチに視線を移した。
鹿(天羽さんだ…)
そこには手を膝に置き、姿勢正しく座るがいた。
鹿(本当に美しいって言葉が似合う人だな…微動だにしなくてまるでお人形さんみたい…だけどしっかり目線は動いてる。馬狼くんのことだけじゃなくて全員のことちゃんと見てるんだ)
鹿野はの視線が馬狼だけに注がれているわけではないことに、少し安心し、馬狼に視線を戻した。
しばらくすると休憩に入ったようだった。