第2章 出会い
は幼少期、養護施設で暮らしていたところを今の両親に引き取られた。
母「ちゃん、今日からここがお家よ」
「わぁ…すっごく広いお家…」
父親は国会議員、母は教育委員長、そして、屋敷のように広い家。
は幼いながらに分かった。
自分は一般家庭とは程遠い、富者の家の娘になったのだと。
そしてこの家が、愛に溢れた家ではないということに気づくのも、そう遅くはなかった。
「お母さん、私外で遊びたい…」
母「今日のお勉強が終わったらいいわよ、島と一緒に行ってらっしゃい」
島というのはこの家のお手伝いさんである。
「分かった!」
は終わらせると母親に報告した。
「お母さん、終わった!」
母「どれどれ…」
そう言って母親は丸つけをする。
母「あら…ちゃん、ここを間違えてるわ…ここも、ここもよ。」
「え…」
母「こんなのを間違えるようでは…またドリルを増やさなきゃいけないわね…」
「ごめんなさい…次は間違えないようにするから…だから…増やさないで…も遊びたい…」
は外で遊ぶ同年代の子供達の声が聞こえる窓の方を見た。
母「ああやって遊んでばかりいるとね、困った時何もできない大人になっちゃうのよ?お父さんは立派でしょ?お父さんはね、あんなことをしてこなかったから今みたいになれたのよ。ちゃんもそんな人になりたくはない?お父さんみたいな立派な人、もしくはそんな人の奥さんに」
「……分かった。お勉強頑張る」
には毎日勉強のノルマが科され、それをクリアできなければ日々量が増えていき、人格否定の言葉を浴びせられる。
遊ぶのを許されるのはそのノルマを1発で達成した時だけ。
そんな毎日だった。