第26章 【finale】
ベラトリックスは、今度は天井へ向けて魔法を放った。すると瓦礫に紛れ、上の階で戦っていた人々がバラバラと人形の様に落ちてきて、瓦礫の山の上を新しい鮮血で染めた。
それを見たクリスは気が狂わんばかりに絶叫した。
自分が馬鹿だった、ベラトリックスを甘く見ていた。奴がこういうことを平気でする奴だって分かっていたはずなのに……。
この惨劇を呼んでしまった自分に対し、クリスは血が出るくらい唇をグッと噛むことで、何とか叫び出したい衝動を堪えた。
「さあ行くよ!ついて来な、“闇の姫君様”!」
クリスは手枷に繋がれた鎖をグッと引っ張られ、よろけそうになりながらも、瓦礫の下敷きになった仲間達の無事を必死に祈りながら、たどたどしい足取りでベラトリックスの後をついて行った。
* * *
着いた先はアラゴグという巨大グモが住んでいた洞穴だった。2年生の時にお世話になったこの場所に、再び訪れることがあるとは、クリスもついぞ思わなかった。
周りを見ると仮面をかぶっていない者もいたが、ここにいる全員がヴォルデモートの傘下にあるのは間違いない。
クリスはその赤い瞳で以て、射殺すほど鋭く全員を睨みつけた。
「我が君、闇の姫君を捕まえてまいりました!」
そう言って、ベラトリックスは乱暴に鎖を引っ張った。
バランスを崩したクリスは、そのまま倒れてヴォルデモートの足元に膝まづくような形で倒れた。
「久しぶりだな、我が愛しき娘よ」
「ッ……」
言い返したい言葉は山の様にあったが、己の口の悪さがどんな凄惨な状況を生むのかと思うと、クリスは何も言い返せなかった。
無抵抗で口を閉ざしたクリスに対し、ヴォルデモートは手枷の鎖を引っ張ると無理やり顔を近づけさせた。