第23章 【二人合わせ】
「ふう……あとはこれを使って壊せば良いんだな。ハーマイオニー!!」
ロンがハーマイオニーの名を叫ぶと、待ってましたと言わんばかりにハーマイオニーが赤いビーズのバッグの中からスリザリンのペンダントを取り出した。
「これを砕くのは、僕にやらせてほしい」
ロンがそう宣告すると、クリスとハーマイオニーはそれぞれ了解とばかりに返事をした。ロンはスリザリンのロケットを床に置くと、バジリスクの牙をぎゅっと握ったまま固まった。
いや、ただ固まっただけではない。正しくは己の中にある劣等感との……ハリーへ対する劣等感とのせめぎ合いだ。
何度か深呼吸を繰り返し、最後一呼吸おいた次の瞬間、ロンはバジリスクの牙を高々と振り上げると、ロケットの中心めがけて鋭い牙を突き立てた。
するとおぞましい悪霊のような黒い塊が、上へ上へと昇って行き、最後は霧となって消えた。あとはハッフルパフのカップだ。
ハーマイオニーが再びビーズのバッグに手を伸ばすと、ドラコがグイッと前に出た。
「それの破壊は、僕にやらせてくれないか?」
「おい、何のつもりだマルフォイ!?」
「けじめを付けたいんだ……マルフォイ家当主として」
ドラコのその言葉には、約1000年もの間受け継がれてきたマルフォイ家当主という、計り知れない重みと共に、誰をも黙らせる緊迫感があった。
子供のころから完璧なる純血主義者たちに囲まれて育ったドラコには『血を裏切るもの』になるなど、本当ならあってはならない事だった。
ハーマイオニーは一瞬ロンと視線をかわしたが、最終的に「分かった」と言って金色のカップをドラコに手渡した。ドラコは震える手でそれを手にすると、地面にしゃがんでカップを固定した。
「これを付き立てれば良いんだな?」
「ああ、ただそれだけで良い」
クリスはなるべくドラコの負担にならないように、言葉少なめに答えた。
ドラコは緊張から過呼吸気味になり、手が震えていた。それを見たクリスはドラコの隣に膝を付いて、牙を握っている手に己の手を重ねた。
「一緒にやろう、ドラコ。一緒に……」
「……ああ、分かった。一緒にやろう」
幼い頃からどんな時も2人一緒だった。ならば彼が背負う物も一緒に分かち合おう。
合図もなく2人は呼吸を合わせると、金色に輝くカップにバジリスクの牙を突き立てた。
