第32章 ディストラクション ✢
「……あのね。俺が今までゴム使わなかったのはね。
夢が感じてた“支配”を、ちゃんと俺と繋がることで壊したかったからなんだ。」
“避妊具(ソレ)はさ、本番まで取っておこうよ♪”
性器同士が接触する時に使おうとして、
蜂楽にこう言われたのを思い出す。
私にとってこの避妊具は……
自由を認めぬ“鉄の首輪”だった。
父と母の支配からは逃れられない、というメッセージ。
避妊を失敗する娘はいらない、という産科医達からの強いプレッシャー。
現に私は……母に愛されていなかった。
私を思い通りに支配しようとしてきた18年間。
一変して、不倫相手に目覚めれば、利用されて裏切られた。
離婚を機に、父とは理解り合えてきたけど。
───今ここにある避妊具は……
私の心や体を想ってのモノじゃない───。
「……そんなこと、思ってたの……?」
「大事なコトっしょ?ちゃんと俺が夢に入るコトで使って、この“首輪”全部粉々にぶっ壊して……
夢の“闇”を、真っ白に晴らしたかったんだ。
今してるコトを例えるなら、夢姫を“牢屋”から助け出すための“RPG”なんだよ。」
「……っ、廻……」
───私は本当、どうしてこんなに……
泣き虫になっちゃったんだろ───?
「キレイな涙だ。」
チュッと鳴る唇……流れた涙をまたキスで拭われる。
「全部ぶっ壊すまで、あと4ボスだね♪
今ので1レベ上がった俺を…ご堪能あれ♡」
「あ…!」
未開封の3個の“首輪”を側に置いて、不敵に微笑んだ蜂楽は入って来た。