第25章 渋みのミルクティー ✢
「……はああぁ。夢ちゃん俺っ、も、無理ぃ。」
「廻……やっちゃおうよ?」
やたら色っぽい声を出して、テーブルに突っ伏す。
蜂楽の夏休みの宿題が……終わる気がしない。
「この問題まで頑張ったらこのチョコあげる。」
「チョコ好き。でも俺、夢ちゃんのほうがイイ。」
だから。
ウルウル眼で、顔を赤らめて、唇を少し開けて
私を見ないで。
キュンキュンしちゃうでしょーが。
「じゃあ。私がバイトから帰るまでに、この問題集ぜーんぶ終わってたら相手してあげる。」
「お、マジ?んなら俺、頑張れちゃう♪」
「……スケベ。答え丸写ししたら判るからね。」
舌で唇をペロッと舐めるその仕草。
本当に何度確認しても、声と体は男なのに
私より、そこらの女子より、全然可愛い。
「あ、その前に♪」
「? んっ…!」
チョコを口に咥えたと思えば、それを口移ししてくる。
「ん、ん……♡」
無駄に角度を変えて唇を押し付け、甘いチョコを更に激甘へと味変させる。
「はぁっ……あっま。」
「ぁ……めぐるっ……」
なんだか私のほうが……
“その気”になっちゃったんですけど。
「……ねぇ。バイト前なのに、なんで誘うの?」
「ごめんね。俺、優しい夢ちゃんにチョコあげたかっただけなんだ。」
その“きゅるん”は、悪いと思ってる顔じゃない。
「……宿題、ちゃんとやっておきなよ。」
「いやん♡夢センセーに襲われちゃうっ♡」
こうやっていつも振り回される。
そんな蜂楽との生活は、糖度マックスの危ない甘さ。