第19章 お守りみっつ
「カラオケ次の人いますー?2Bの蜂楽くーん?」
「お、出番だ!ほーい!俺でーす!」
カラオケの順番が来て、担当者から声が掛かる。
「一緒に来て?夢ちゃん!」
「な、え!?やだっ…こんな大勢の前でカラオケとか無理すぎるっ!!」
「だいじょーぶだよ♪」
強引に私の手を掴んで引っ張って、ステージへと向かう蜂楽。
引っ張る力が強くて、抗えない。
いやいやいや!!!!
本当に無理だからぁ!!!!
「あれ、君!選曲してないけど?」
「俺はマイク一本で勝負じゃい!!曲なんていらないぜっ!!マーマーマー♪」
「はぁ!!??廻、本気!!??」
カラオケの機械にリクエストもしないまま、
蜂楽と一緒にステージに上がってしまった。
ああ、どうしよう……詰んだ。
「あー、あー。みなさーん、聴こえますかー?」
後夜祭のグラウンドでは、各々が好きなことをして過ごしていた。
友達同士、カップル同士。
談笑したり、ふざけたり、食べたり、寄り添い合ったり。
そんな文化祭終了ムードが漂うグラウンドに、
蜂楽は風穴を空ける。
「まずは、生徒会長の夢ちゃんに…拍手っ!」
「ええっ!?ちょっと、廻っ…!?」
歌を歌うわけでもなく。
蜂楽はマイクで、その場にいた多くの生徒の前で喋り始めた。