~たゆたううたかた~【禪院直哉/R-18/短編集】
第1章 気まぐれ 【禪院直哉】
この…袴姿に不釣り合いな
金髪に染められた髪の色が。
この人の中の…そんな意志の
現われなのかも知れないなぁと
そんな事をは
ぼんやりとしながら考えていた。
『自分…ちょーっと変わっとるよな』
「そうで…しょうか…、良く言われます」
『せやろな…、今日は自分の日やろ?
また夜に俺の部屋…来ぃな…』
「はい、…お伺い致します」
今日は…私が当番の日。
夕食を済ませて、入浴をして
寝巻に着替えて…髪を整えると。
直哉の部屋へと向かった。
当番の…お仕事をする為に…。
「直哉様…です」
『ああ、来たん?
ええで、中…入っておいでぇや』
「失礼します」
ガラガラと…襖を開いて
私が部屋の中に入ると。
私が当番の日なのに
申し訳なさそうな顔をした
澪さんの姿があって。
私は今日の当番だが
澪さんは明日が当番のはず…。
『澪ちゃんの妹の桜ちゃんが
風邪引いて熱出してんねんて』
熱を出した桜さんの看病を
澪さんがしたいと言うので
交代は禁止だから
当番を休ませて欲しいと…
直談判しに来ていたのだそうだ。
『交代は禁止…ちゅうルール忘れたん?』
そのルールがあるから交代の
願い出ではなくて、休みたいと
申し出てるんだろうけど…。
『まぁ…ホンマやったら
自分等姉妹揃って、
帰って言う所やけど…。
今日は…気分がええし…
お咎め無しにしたるわ。
ええ事思いついたしなぁ…』
そう言ってこっちを見て
直哉がニヤニヤと笑って居て。
『じゃあ…俺の中で、
明日も明後日も
火曜日って事にしとくわ
それでええやろ?澪ちゃん。
妹の桜ちゃんにも
ゆくっくり養生しいや言うといたってな』
『ありがとうございます、直哉様』
何度もお礼を言いながら
澪が安心した様子で
何度も何度も額を畳に擦り付ける
勢いで直哉に対して頭を下げていて。
直哉にお礼を言いながら下がって行って。
『澪ちゃんの好感度、
今ので爆上がりしたと思わへん?
なぁ、そう思うやろ?俺って
今めっちゃ男前ちゃうかった?』
「あの……今のお話
色々とおかしくない…でしょうか?」